2つの新機能を搭載した、RPZ-PowerMGRの制御プログラム(ファームウェア)のVersion 1.4およびVersion2.1リリースしました。既にお使いいただいている製品についても、ファームウェアアップデートを行うことで新機能を利用することができます。
電源自動リカバリー機能
1つめの新機能は「電源自動リカバリー」機能です。
これまでRPZ-PowerMGRでは、バッテリーの電力が無くなったり停電によって電源が落ちてしまった場合、手動でスイッチを押すか、次の電源ONスケジュール時刻を待つ以外にRaspberry Piを起動する手段がありませんでした。
また、電源が落ちた状態が数日以上続くと、バックアップコンデンサーの電力がなくなり、RTCの時刻が初期化されてしまします。この状況では、手動でスイッチを押す以外にRaspberry Piを起動することができません。
そこで自動的にRaspberry Piの電源を復帰する「電源自動リカバリー」機能を搭載しました。これにより、意図しない電源切断やバッテリー切れとなっても、スイッチ操作なしで再度Raspberry Piを起動し、運用を再開することが可能となります。
状況の例 | 電源自動リカバリー利用時 | デフォルト(無効時) |
---|---|---|
Raspberry Pi動作中に停電やバッテリー切れで電源が落ちた | 電源が再投入された際に自動でRaspberry PiがON (電源切断後5分以降) | 電源が再投入されても、スイッチを押すか、次のスケジュールの時刻までRaspberryはOFFのまま |
スケジュールでONする時刻が来たが、電源が供給されていない | 電源が再投入された際に自動でRaspberry PiがON | 電源が再投入されても、スイッチを押すか、次のスケジュールの時刻までRaspberryはOFFのまま |
数日以上電源が供給されていない状態が続き、RTCが初期化された | 電源が再投入された際に自動でRaspberry PiがON | 電源が再投入されても、スイッチを押すまでRaspberryはOFFのまま |
具体的な設定方法はこちらの記事を参照して下さい。
USB Type-A Wake up無効化
2つめの新機能は「USB Type-A Wake up無効化」機能です。
モバイルバッテリーの多くは、一定時間使用しないとスリープ状態に入り、電圧を出力しない状態になります。そこで、RPZ-PowerMGRは、電圧が低いと状況に応じてモバイルバッテリーWake upを試みます。これはモバイルバッテリー以外が電源に接続されていても発生します。(何が繋がっているかRPZ-PowerMGR側からは判別できないため)
ところが、RPZ-PowerMGRと電源がケーブルで繋がっているものの電気が来ていない状態だと、Wake upの副作用でRTCがリセットされてしまう現象が発生することがあります。この現象が発生するかどうかは電源の回路に依存します。
そこで、上記現象を回避するためにUSB Type-A型のモバイルバッテリー用のWake upを無効化する機能を搭載しました。USB Type-C型のWake upはこの問題が発生しないため、設定に関わらず常時有効です。
以下の全ての条件に当てはまる場合、無効化することでRTCリセットを回避できる可能性があります。
- 常時電圧が出力されている(スリープしない)電源、もしくはUSB Type-C型モバイルバッテリーを使っている
- RPZ-PowerMGRとケーブルで繋がったまま、元電源がOFFになったり、バッテリー切れになる可能性がある
- 元電源OFFやバッテリー切れから復旧した際、スケジューラーが動作しなかったり、RTCが2000年にリセットされる現象が起きる
具体的な設定方法はこちらの記事を参照して下さい。
RPZ-PowerMGRの詳細は以下の製品ページをご覧ください。
RPZ-PowerMGR (Raspberry Pi/Jetson Nano用 電源管理/制御/RTC拡張基板)
スイッチで電源ON/OFF、指定時刻に電源ON/OFF、シャットダウン後自動電源OFFを可能にする拡張基板です。Raspberry Pi(ラズパイ)やJetson Nanoの電源の課題を解決し、省電力運用を可能にします。RTCで電源OFF時も時刻を保持します。USB Type-C端子を搭載し、モバイルバッテリーでも利用できます。