Raspberry Pi(ラズパイ)に人感、明るさセンサー、赤外線送受信機能を搭載できる拡張基板です。人感センサーで人や動物を検知してカメラで撮影したり、赤外線で照明をONするような使い方が可能です。周囲の明るさをモニターできる他、外付温湿度/気圧センサー(別売り)を接続することで、温度、湿度、気圧の測定機能を追加できます。7色表示可能なRGB LEDにステータスを表示したり、スイッチを押すことで特定の動作をさせることができます。
製品の特徴
人感センサー搭載
人感センサーを搭載したことで人や動物の動きを検知できます。
人感センサーは検出精度とノイズ耐性に定評のあるPanasonic社製PaPIRsシリーズを採用しました。
以下のような応用が可能です。
- 人や動物が通ったらインターネット経由で知らせる
- 人が通ったらカメラで撮影
- 周囲が暗いときに人が通ったら赤外線で照明をON
- 一定時間部屋に人の動きがなければ赤外線でエアコンOFF
赤外線を利用して動きを検知するので、太陽光が直接当たる環境ではうまく動作しない場合があります。また、対象物が小さすぎる、動きが遅すぎると検知できないことがあります。
別売りのマウントキット「RPZ-CamMountKit」を組み合わせると、人感センサーの検出方向とRaspberry Pi HQカメラの撮影方向を合わせることができる他、三脚も利用できます。
純正の6mm広角レンズだと、撮影範囲(下図の紫)が人感センサーの検出範囲(下図の赤)より狭いため、センサーに反応しても撮影できない場合があります。そこで、3.2mm超広角レンズ「RPL-UltraWide-3.2mm」(別売り)を使うと、センサーと同等の範囲の撮影(下図の青)が可能になります。
同じ距離(50cm)で撮影した比較です
明るさ(照度)センサー搭載
明るさ(照度)を測定できるセンサーTSL2572を搭載しました。明るさ、日照時間を記録、モニタリングしたり、照明が点いているかの確認をすることができます。赤外線機能と組み合わせて、暗くなったら照明をつけるような機能が実現できます。
独自開発した、明るさセンサーを制御できるコマンドラインツール「cgsensor」を公開しています。Raspberry Pi OSに簡単にインストール可能です。
コマンドラインツールを利用すれば、1行もコードを書かなくても明るさの測定や記録ができます。ハードウェアを取り付け後、すぐに測定を開始できます。
また、Pythonパッケージとしての利用も可能で、ご自身のプログラムから簡単にセンサーを制御できます。開発期間の短縮に貢献します。
外付温度、湿度、気圧センサーを接続可能
4ピンのI2C端子に外付温湿度/気圧センサーセット(別売り)を接続することで、温度、湿度、気圧の測定が可能になります。コマンドラインツール「cgsensor」は温度、湿度、気圧の測定にも対応しており、明るさと合わせて測定、記録が可能です。
上記センサー以外でも、I2C接続のセンサーなどを接続して利用可能です。
家電と連携できる赤外線送受信機能
赤外線送信機能によりエアコンやテレビ、照明器具などの家電製品を操作できます。 ネットワークを通じてスマホから家電を操作したり、自作のプログラムから家電を操作することが可能になります。赤外線LEDは広範囲をカバーするチップLEDタイプを3個搭載したことで、優れた通信範囲を実現しました。
赤外線受信機能もあるので、お使いの家電のリモコンのデータ解析や、汎用リモコンを使ったリモート制御も可能です。赤外線操作ツール「cgir」を開発、公開しているので、簡単にリモコンの赤外線データを登録して送信する機能を実現できます。
RGB LED、スイッチ
7色表示可能なRGB LEDと2個の汎用スイッチを搭載しました。 プログラムなどから自由にON/OFFできます。センサーと組み合わせて、温度が一定以上になったらLEDを発光させたり、スイッチが押されたら特定の処理をすることができます。
他社製品との比較
Raspberry Piを使って実用的なアプリケーションを作成する場合、センサーなどのハードウェアを制御するソフトウェアや、Linuxシステムに関するノウハウが必要不可欠です。多くの他社製品では最低限のサンプルプログラムのみが付属しており、アプリケーションの作成に不十分でした。
そこで、Indoor Corgiではソフトウェアや応用アプリケーション例の提供に力を入れています。
提供している「cgsensor」、「cgir」ソフトウェアは、コードを一切書かずにセンサー類や赤外線を制御できる他、pythonパッケージとしてご自身のプログラムでも利用できます。
また、応用アプリケーション例では、システムの設定方法も含めて解説しているほか、OSやカメラといったRaspberry Piの基本機能のセットアップについても解説記事を用意しています。お客様の運用までを強力にサポートし、開発工数の削減に貢献します。
お客様ご要望のハードウェア、ソフトウェアの開発については、有償にて承っております。ハードウェア、ソフトウェア受託開発をご参照下さい。
仕様
項目 | 仕様 |
---|---|
対応ハードウェア | 40ピンコネクタを搭載したRaspberry Piシリーズ 動作確認を行っている製品: – Raspberry Pi 4 Model B – Raspberry Pi 3 Model B/B+ – Raspberry Pi Zero 2W – Raspberry Pi Zero W/WH – Raspberry Pi Zero |
対応OS | 2022年以降にリリースされたRaspberry Pi OS (GPIO、I2C通信対応の他OSでも動作可能ですが、サポート対象外です) |
人感センサー | 検出距離: 5m 検出角度 水平: 106° 検出角度 垂直: 97° 電源投入後回路安定時間: 30秒 入力: GPIO27, 検出時High |
明るさ(照度)センサー | TSL2572 I2Cアドレス: 0x39 |
赤外線送信LED | 波長: 940nm 出力: GPIO13 |
赤外線受信器 | 入力: GPIO4, 38kHz受信中Low |
RGB LED | RGBの組み合わせで7色表示可能 赤: GPIO18 緑: GPIO17 青: GPIO22 High出力時にON |
スイッチ | SW1 (赤): GPIO5 SW2 (黒): GPIO6 ON時にLow入力, OFF時Hi-Z |
温度、湿度、気圧センサー (別売り) | I2Cアドレス: 0x76 |
Raspberry Pi 5対応状況
人感センサー、RGB LED、スイッチ、明るさ(照度)センサー、温度湿度気圧センサー (別売り)
Raspberry Pi 5で動作することを確認しています。
赤外線送信LED、赤外線受信器
システムの変更により赤外線送受信ツール「cgir」がRaspberry Pi 5で動作しません。対応は検討中です。
ご自身で赤外線送受信ソフトを準備していただくか、動作するRaspberry Piモデルの利用を推奨いたします。
購入
1)RPZ-PIRS本体
RPZ-PIRS拡張基板本体です。
まとまった数量をご希望の方は、見積もり依頼よりご連絡ください。
2)RPZ-CamMountKit
Raspberry Pi Zero / W/ WH / 2Wと純正HQカメラを固定するアクリル板、固定パーツ、カメラケーブルのセットです。
RPZ-PIRSの人感センサーとカメラの向きを一致させることができます。RPZ-PIRS本体は付属しません。
3)RPL-UltraWide-3.2mm
Raspberry Pi純正HQカメラで利用できる3.2mm超広角レンズです。RPZ-PIRSの人感センサーの検出範囲と同等の撮影画角を得られます。
別途HQカメラ本体(センサー部)が必要です。RPZ-PIRS本体は付属しません。
4)外付センサーセット
ケーブル経由で外付センサーを追加できます。 Raspberry Piの発熱の影響を受けずに温度、湿度、気圧を測定できます。 外付センサー、接続ケーブル、ピンヘッダのセットです。J2端子にケーブルを接続して使用します。RPZ-PIRS本体は付属しません。
セットアップ
Raspberry Piの初期設定
Raspberry Piを初めて使う方向けに、インストールと初期設定を解説しております。すでに完了している場合は次のステップへ進んでください。
RPZ-PIRS基板の取り付け
RPZ-PIRS基板を、Raspberry Piの40ピンコネクターに取り付けます。
RPZ-CamMountKit
RPZ-CamMountKitを使うことで人感センサーとカメラの方向を合わせることができます。セットアップは以下の記事を参照してください。本製品はRaspberry Pi Zeroシリーズ(Zero, W, WH, 2 W)のみ対応しています。
RPZ-CamMountKit (Raspberry Pi Zero用 三脚&カメラマウントキット)
Raspberry Pi(ラズパイ) Zeroシリーズと純正のHQ/V3/V2カメラモジュールを三脚に固定するマウントキットです。三脚を利用することで、カメラの向きの調整が容易になるほか、固定場所の幅が広がります。RPZ-PIRS拡張基板の人感センサーとカメラの方向を合わせるように設計しており、人や動物が通った際に撮影するような応用が可能です。
HQカメラ、3.2mm超広角レンズ
HQカメラ、超広角レンズの取り付け、セットアップは以下の記事を参照してください。
ラズパイカメラモジュールの使い方(各モデルの違い、組み立て、撮影方法)
Raspberry Pi(ラズパイ)に純正カメラモジュールを接続して、写真や動画を撮影することができます。各カメラモジュールの違い、組み立て手順と撮影する手順を解説しています。HQカメラについては、レンズ取り付けとフォーカスの調整についても解説しています。
外付温湿度/気圧センサー
4ピンのI2C端子(J2)に外付センサーセット(別売り)を接続することで、気温、湿度、気圧の測定が可能になります。ケーブルで接続するので、Raspberry Pi本体の発熱の影響を受けずに測定可能です。
以下の通り、同じ信号が対応するように接続して下さい。逆向きに接続すると部品を痛める恐れがあります。
基板J2端子 | 外付センサー |
---|---|
3V3 | VIN |
GND | GND |
SCL | SCL |
SDA | SDA |
ブロックダイアグラム
使い方
人感センサー
人感センサーが人の動きを検知すると、GPIO27がHigh入力となります。一方、何も検知していない間はGPIO27がLow入力となります。電源投入から人感センサーが安定するまで30秒かかるので、それ以降に検知を開始するようにしてください。
人感センサーが人の動きを検知するとLEDが点灯するサンプルコードを用意しました。こちらをダウンロード、解凍後、rpzpirs_pir.pyのファイル内の説明に沿って実行して下さい。
Pythonプログラミングが初めての方向けに解説記事を用意しております。
明るさセンサー
明るさセンサーTSL2572は「cgsensor」ツールで制御できます。以下の記事で解説しています。
TSL2572センサーとラズパイで明るさ(照度)を測定する
Indoor Corgiのセンサー制御ソフトウェア「cgsensor」を利用して、TSL2572センサーで明るさを測定する方法を解説します。コマンドラインツールを使って1行もコードを書かずに測定ができるほか、Pythonパッケージを使えばご自身のプログラムから簡単にセンサーを制御できます。
赤外線
GPIO13よりHighを出力すると赤外線LED(波長940nm)がONになります。 家電などにデータを送信する際は赤外線フォーマットに従ってください。
GPIO4より赤外線データが受信できます。38kHzは自動的に復調されます。入力は反転となり、データ受信中がLowになります。
赤外線送信中は示す赤色LED5が点灯します。赤外線LEDは電流が大きいので、設定ミスなどで常にON になっていると部品を痛める恐れがあります。このLEDが点灯し続けている場合は プログラムを終了して見直して下さい。
簡単に赤外線送受信できるツール、およびエアコンを制御する応用例を公開しています。
RGB LED
LED1はRGB LEDとなっており、赤、緑、青に対応した3つのGPIOの出力がHighかLowかの組み合わせで最大7色の色に光らせることができます。以下の対応表を参考にして下さい。
GPIO18 (赤) | GPIO17 (緑) | GPIO22 (青) | RGB LEDの色 |
---|---|---|---|
Low | Low | Low | 消灯 |
High | Low | Low | 赤 |
Low | High | Low | 緑 |
Low | Low | High | 青 |
High | High | Low | 黄 |
High | Low | High | 紫 |
Low | High | High | 水色 |
High | High | High | 白 |
スイッチを押すとLEDの色が変わるサンプルコードを用意しました。こちらをダウンロード、解凍後、rpzpirs_ledsw.pyのファイル内の説明に沿って実行して下さい。
Pythonプログラミングが初めての方向けに解説記事を用意しております。
スイッチ
2つのスイッチはそれぞれGPIO5、6に対応しており、スイッチがON(押された状態)になるとLowが入力されます。
押してない間HighとなるようにRaspberry Pi側でプルアップしてご利用ください。デフォルトではRaspberry Pi起動時にプルアップになります。
GPIO | スイッチ |
---|---|
GPIO5 | SW1(赤) |
GPIO6 | SW2(黒) |
スイッチを押すとLEDの色が変わるサンプルコードを用意しました。こちらをダウンロード、解凍後、rpzpirs_ledsw.pyのファイル内の説明に沿って実行して下さい。
Pythonプログラミングが初めての方向けに解説記事を用意しております。
外付温湿度/気圧センサー
外付温湿度/気圧センサーは明るさセンサーとあわせて「cgsensor」ツールにより一括制御が可能です。以下の記事で解説しています。
BME280センサーとラズパイで気温、湿度、気圧を測定する
Indoor Corgiのセンサー制御ソフトウェア「cgsensor」を利用して、BME280センサーで気温、湿度、気圧を測定する方法を解説します。コマンドラインツールを使って1行もコードを書かずに測定や記録ができるほか、Pythonパッケージを使えばご自身のプログラムから簡単にセンサーを制御できます。
応用例
人感センサーとラズパイで人や動物が通ったら撮影する (RPZ-PIRS)
人感センサー(PIR/焦電赤外線センサー)は、人や動物の動きを検知できます。そこで、Raspberry Pi(ラズパイ)、カメラと組み合わせて、人や動物が通ったら写真や動画を撮影する方法を解説します。実際に動作するプログラムも用意しています。人感センサー搭載のRPZ-PIRS拡張基板を利用します。
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注意事項
開発依頼
本製品への機能追加などのカスタマイズや、本製品を使ったシステムの開発依頼、その他ハードウェア、ソフトウェアの開発については、有償にて承っております。ハードウェア、ソフトウェア受託開発をご参照下さい。
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