RPZ-PowerMGRには、自動的にRaspberry Pi/Jetsonの電源を復帰する「電源自動リカバリー」機能を搭載しています。これにより、意図しない電源切断やバッテリー切れとなっても、スイッチ操作なしで再度Raspberry Pi/Jetsonを起動し、運用を再開することが可能となります。本記事ではその仕組みと、設定方法を解説します。
電源自動リカバリー機能の概要
これまでRPZ-PowerMGRでは、バッテリーの電力が無くなったり停電によって電源が落ちてしまった場合、手動でスイッチを押すか、次の電源ONスケジュール時刻を待つ以外にRaspberry Pi/Jetsonを起動する手段がありませんでした。
また、電源が落ちた状態が数日以上続くと、バックアップコンデンサーの電力がなくなり、RTCの時刻が初期化されてしまします。この状況では、手動でスイッチを押す以外にRaspberry Pi/Jetsonを起動することができません。
そこで自動的にRaspberry Pi/Jetsonの電源を復帰する「電源自動リカバリー」機能を搭載しました。これにより、意図しない電源切断やバッテリー切れとなっても、スイッチ操作なしで再度Raspberry Pi/Jetsonを起動し、運用を再開することが可能となります。
状況の例 | 電源自動リカバリー利用時 | デフォルト(無効時) |
---|---|---|
Raspberry Pi/Jetson動作中に停電やバッテリー切れで電源が落ちた | 電源が再投入された際に自動でRaspberry Pi/JetsonがON (電源切断後5分以降) | 電源が再投入されても、スイッチを押すか、次のスケジュールの時刻までRaspberry Pi/JetsonはOFFのまま |
スケジュールでONする時刻が来たが、電源が供給されていない | 電源が再投入された際に自動でRaspberry Pi/JetsonがON | 電源が再投入されても、スイッチを押すか、次のスケジュールの時刻までRaspberry Pi/JetsonはOFFのまま |
数日以上電源が供給されていない状態が続き、RTCが初期化された | 電源が再投入された際に自動でRaspberry Pi/JetsonがON | 電源が再投入されても、スイッチを押すまでRaspberry Pi/JetsonはOFFのまま |
本機能はデフォルトでは無効に設定されています。コントロールツールで有効化する必要があります。
仕組み
電源自動リカバリーの無効時と有効時の状態遷移図が以下のとおりです。(ファームウェア仕様書より抜粋)
デフォルト(無効時)では、電源が投入された場合、Stopステート(Raspberry Pi/Jetson OFF)になります。
一方、電源自動リカバリーが有効時は、電源が投入されると以下の条件をチェックします。
- Raspberry Pi/Jetson稼働中に電源が切断されたか?
- 電源が供給されていない状態で、Raspberry Pi/JetsonをONするスケジュール時刻になったか?
- RTCが未設定か?
いずれかに当てはまれば、Runステート(Raspberry Pi/Jetson ON)に移行します。いずれにも当てはまらない場合はStopステート(Raspberry Pi/Jetson OFF)に移行します。
ファームウェアバージョンの確認
本機能を使うには、RPZ-PowerMGRのファームウェアが以下のバージョン(2022年7月リリース)より新しくなっている必要があります。ファームウェアバージョンの確認とアップデート方法はファームウェアアップデート手順を参照して下さい。
RPZ-PowerMGR基板本体のRev | 必要なファームウェアバージョン |
---|---|
Rev1 | Ver1.4以降 |
Rev2 | Ver2.1以降 |
設定方法
コントロールツールでcfサブコマンドに-p 1を指定することで有効化できます。以下の$に続くコマンドを実行して下さい。
$ cgpmgr cf -p 1
無効化するには-p 0を指定します。
$ cgpmgr cf -p 0
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