Raspberry Pi(ラズパイ)用CO2センサーとリレー拡張基板です。CO2濃度を測定することで換気の目安としたり、オフィス環境の改善やスマート農業のCO2モニタリングに利用できます。CO2濃度が一定以上になった際、リレーで換気ファンなどの外部機器をON/OFFできます。7色表示可能なRGB LEDを搭載し、CO2濃度に合わせて色を変えることも可能です。
CO2測定の重要性
近年、CO2(二酸化炭素)測定の重要性が高まっています。例えば以下のような例が挙げられます。
感染症対策、換気の「見える化」
感染症対策のために密の回避、および換気が重要です。
CO2は人間の呼吸で濃度が上昇するため、人が多く密閉性の高い場所でCO2濃度が上昇します。そこで、CO2濃度を測定することで換気の目安にすることができます(見える化)。
厚生労働省の資料によると、CO2濃度が1000ppmを超えていないことを確認することが有効とされています。
集中力、生産性向上
CO2濃度が高くなると、脳のパフォーマンスに悪影響があることが分かっています。特にオフィスなどの労働環境や、学校では換気を十分に行い、CO2濃度が上がりすぎないようにすることが重要です。
国が決めた基準もあり、以下のように定められています。
- 建物内において1000ppm以下になるよう空調の維持管理に努めなければならない(厚生労働省/建築物環境衛生管理基準)
- 換気の基準として二酸化炭素濃度は1500ppm以下であることが望ましい(文部科学省/学校給食衛生管理基準)
CO2濃度上昇によるパフォーマンス低下を防ぐためには、CO2センサーを使用し、濃度が一定以下となるように換気を行うことが有効と言えます。
参考文献
- オフィスの空気が淀んでいると仕事の生産性が低下する
- Is CO2 an Indoor Pollutant? Direct Effects of Low-to-Moderate CO2 Concentrations on Human Decision-Making Performance
スマート農業
CO2は植物の光合成の原料となるため、CO2濃度が植物の生育に影響を与えることが知られています。そのため、燃料を燃焼させたCO2をハウス内に送ることで濃度を上昇させ、収量や品質を高める二酸化炭素施用が行われています。
CO2濃度が上がると成長量が増加し、外気よりも濃度が下がると成長量減少するという報告もあります。
また、光や水の量とのバランスや、CO2濃度を一定以上に上げても効果が薄いといった結果も見られ、センサーによる適切なモニタリングが重要と言えます。
参考文献
これらの具体例から、なぜCO2測定の重要性が高まっているか分かっていただけたのではないでしょうか?
RPZ-CO2-Sensorで汎用性の高いシングルボードコンピューター「Raspberry Pi」にCO2測定機能を追加できます。既存のソフトウェアやネットワーク機能と組み合わせることで、例えば以下のような様々なシステムを作ることが可能になります。
- CO2濃度に合わせてLEDの色を変化させ、オフィス環境を可視化
- CO2濃度が一定を超えたらファンをONするシステム
- IoT CO2濃度モニタリング
- ビニールハウス内のCO2濃度モニタリング&コントロール (RPZ-IR-Sensorと組み合わせると、温湿度と光量も測定できます)
製品の特徴
高性能CO2センサー SCD41搭載
現在、正確なCO2の測定に使用されているセンサーは、NDIR(非分散赤外線)方式が主流です。一方、SENSIRION社のCO2センサーSCD41は、次世代のPAS(光音響)方式を採用したことで、高い精度を保ったま1/5以下の小型化に成功しています。
そのため、CO2センサーに加えてリレー、LED、スイッチをRaspberry Pi Zeroサイズの基板に搭載することが可能になりました。
PAS(光音響)方式 SCD41 | NDIR(非分散赤外線)方式 | MOx(金属酸化物)方式 | |
---|---|---|---|
精度 | 高い 40ppm + 5% | 高い 30-50ppm + 3-5%程度 | 低い (*1) |
大きさ | 小さい 102mm2 | 大きい 500-1500mm2程度 | – |
(*1) 安価なMOx方式は有機化合物ガス全般(TVOC)を検出します。CO2のみを検出するものではありません。TVOCの温室効果のCO2相当量(eCO2)をCO2濃度と誤解している例もありますので、ご注意下さい。
消費電力を抑える動作モード
CO2センサーは以下の3つの測定モードがあり、状況に合わせて選択することで、消費電力を抑えることができます。
- 5秒おきの最短の連続測定モード
- 30秒おきの省電力な連続測定モード
- ユーザーが指示したときだけ測定を行うシングルショットモード
モバイルバッテリーでRaspberry Piの間欠動作を可能にする「RPZ-PowerMGR」拡張基板と組み合わせて、電源の取れない環境で長時間の測定を行うことも可能です。
MOSFETリレー搭載
外部機器をON/OFFできるスイッチとしてリレーを搭載しています。CO2濃度に応じて換気ファンなどをONするような使い方を想定していますが、プログラムにより自由に制御可能です。CO2濃度に応じてRGB LEDの色を変化させ、リレーで外部機器をON/OFFする応用例を公開しています。
機械的な接点のないMOSFETリレーを採用したため、ON/OFF切り替えが速く、摩耗もありません。リレーはDC 30Vまでとなります。AC 100Vには利用できません。
RGB LED、スイッチ
7色表示可能なRGB LEDと2個の汎用スイッチを搭載しました。 プログラムなどから自由にON/OFFできます。センサーと組み合わせて、CO2濃度に応じてLEDの色を変えてインジケーターとして利用したり、スイッチが押されたら特定の処理をすることができます。
CO2濃度に応じてRGB LEDの色を変化させ、リレーで外部機器をON/OFFする応用例を公開しています。
コントロールソフトウェア付属
独自開発した、CO2センサーを制御できるコマンドラインツールとPythonパッケージ「cgsensor」を公開しています。Raspberry Pi OSに簡単にインストール可能です。
コマンドラインツールを利用すれば、1行もコードを書かなくても測定や記録ができます。ハードウェアを取り付け後、すぐに測定を開始できます。手動キャリブレーション(校正)や工場出荷時リセット、コンフィグ情報の変更など、センサーの各種機能を網羅しています。
また、Pythonパッケージを利用することで、ご自身のプログラムから簡単にセンサーを制御できます。開発期間の短縮に貢献します。
I2C端子に外付センサーを接続可能
4ピンのI2C端子に外付センサーセット(別売り)を接続することで、気温、湿度、気圧の測定が可能になります。外付センサーはCO2センサーとあわせて「cgsensor」ツールにより一括制御が可能です。
上記センサー以外でも、I2C接続のセンサーなどを接続して利用可能です。
Raspberry Pi Zero対応 & 拡張基板スタック
基板サイズは消費電力の低いRasbperry Pi Zeroに対応しています。
RPZ-CO2-Sensorの上に別の拡張基板をスタック(積み重ね)できます。付属アダプターを接続するだけなのではんだ付けは不要です。「RPZ-IR-Sensor」をスタックすれば、赤外線通信、気温、湿度、気圧、明るさセンサー機能を利用できます。
仕様
項目 | 仕様 |
---|---|
対応ハードウェア | 40ピンコネクタを搭載したRaspberry Piシリーズ 動作確認を行っている製品: – Raspberry Pi 5 – Raspberry Pi 4 Model B – Raspberry Pi 3 Model B/B+ – Raspberry Pi Zero 2 W – Raspberry Pi Zero W/WH – Raspberry Pi Zero |
対応OS | 2021年以降にリリースされたRaspberry Pi OS (GPIO、I2C通信対応の他OSでも動作可能ですが、サポート対象外です) |
CO2センサー 概要 | SENSIRION SCD41 I2Cアドレス0x62 |
CO2センサー 測定時間 | 5秒 (1回の測定) |
CO2センサー 測定範囲 | 0 – 40000ppm |
CO2センサー 精度 | +/- (40ppm + 測定値の5%) (25°C、RH55%、1013hPa、400-5000ppmの範囲内) |
CO2センサー キャリブレーション | 手動、自動キャリブレーション対応 |
リレー 概要 | MOSFETリレー GPIO19 High出力時にON |
リレー 許容電圧 | DC30V以下 |
リレー 許容電流 | 最大8A 平均5A以下 (周囲温度60°C以下) |
リレー コネクター | 直径1.5mm以下の端子、ケーブルに対応 コネクターの寸法図はこちら |
RGB LED | RGBの組み合わせで7色表示可能 赤: GPIO18 緑: GPIO17 青: GPIO22 High出力時にON |
スイッチ | SW1 (赤): GPIO5 SW2 (黒): GPIO6 ON時にLow入力 |
購入
1)RPZ-CO2-Sensor本体
RPZ-CO2-Sensor拡張基板本体と、Raspberry Pi接続用アダプターのセットになります。
まとまった数量をご希望の方は、見積もり依頼よりご連絡ください。
2)外付センサーセット
ケーブル経由で温湿度気圧センサーを追加する部品セットです。 Raspberry Piの発熱の影響を受けずに温度などを測定できます。 外付センサー、接続ケーブル、ピンヘッダのセットです。J3端子にケーブルを接続して使用します。RPZ-CO2-Sensor本体は付属しません。
セットアップ
Raspberry Piの初期設定
Raspberry Piを使うのが初めての方向けに、インストールと初期設定を解説しております。すでに完了している場合は次のステップへ進んでください。
RPZ-CO2-Sensor基板の取り付け
以下の写真のように、付属アダプターを、RPZ-CO2-Sensor基板に下から差し込みます。別の拡張基板をスタックしない場合、アダプターの先端4-5mmをカットすると端子がコネクター内部に収まります。
付属アダプターを装着したRPZ-CO2-Sensorを、Raspberry Piの40ピンコネクターに取り付けます。
Raspberry Pi Zeroに関してはアダプターを使わずに直接ピンヘッダーに取り付けて高さを低くすることができます。
対応穴径はRPZ-CO2-SensorがM3/M2.6、Raspberry Pi本体がM2.6、基板間の推奨スペーサーは長さ4mmとなります。
リレー端子
リレー端子(J2)は外部機器をON/OFFするスイッチとして利用できます。使用しない場合は何も接続しなくて構いません。
DC(直流)のみの対応で、AC(交流)には対応しておりません。端子には極性があるので、電圧の高い側をJ2端子プラス側、電圧の低い側をJ2端子マイナス側に接続し、固定ネジをマイナスドライバーで締めて固定します。
仕様にある通り、最大電圧30V以下の電源で使用し、電流は最大8A、連続5A以下、周囲温度60°C以下で運用して下さい。鉛バッテリーのような保護機能のない電源に接続する場合は、ヒューズを挿入して保護するようにして下さい。
Raspberry Pi側とリレー側の回路は電気的に絶縁されています。また、スイッチON->OFF時の誘導性負荷による高電圧は、基板上のバリスタで保護する設計となっております。
外付温湿度/気圧センサー
4ピンのI2C端子(J3)に外付センサーセット(別売り)を接続することで、気温、湿度、気圧の測定が可能になります。ケーブルで接続するので、Raspberry Pi本体の発熱の影響を受けずに測定可能です。
以下の通り、同じ信号が対応するように接続して下さい。逆向きに接続すると部品を痛める恐れがあります。
基板J3端子 | 外付センサー |
---|---|
3V3 | VIN |
GND | GND |
SCL | SCL |
SDA | SDA |
ブロックダイアグラム
使い方
SCD41 CO2センサー
CO2センサーは「cgsensor」ツールで制御できます。以下の記事で解説しています。
RGB LED
LED1はRGB LEDとなっており、赤、緑、青に対応した3つのGPIOの出力がHighかLowかの組み合わせで最大7色の色に光らせることができます。以下の対応表を参考にして下さい。
GPIO18 (赤) | GPIO17 (緑) | GPIO22 (青) | RGB LEDの色 |
---|---|---|---|
Low | Low | Low | 消灯 |
High | Low | Low | 赤 |
Low | High | Low | 緑 |
Low | Low | High | 青 |
High | High | Low | 黄 |
High | Low | High | 紫 |
Low | High | High | 水色 |
High | High | High | 白 |
スイッチを押すとLEDの色が変わるサンプルコードを用意しました。こちらをダウンロード、解凍後、rpzco2_ledsw.pyのファイル内の説明に沿って実行して下さい。
Pythonプログラミングが初めての方向けに解説記事を用意しております。
スイッチ
2つのスイッチはそれぞれGPIO5、6に対応しており、スイッチがON(押された状態)になるとLowが入力されます。
押してない間HighとなるようにRaspberry Pi側でプルアップしてご利用ください。デフォルトではRaspberry Pi起動時にプルアップになります。
GPIO | スイッチ |
---|---|
GPIO5 | SW1(赤) |
GPIO6 | SW2(黒) |
スイッチを押すとLEDの色が変わるサンプルコードを用意しました。こちらをダウンロード、解凍後、rpzco2_ledsw.pyのファイル内の説明に沿って実行して下さい。
Pythonプログラミングが初めての方向けに解説記事を用意しております。
リレー
MOSFETリレーは、Raspberry PiのGPIO19から制御できるスイッチとして動作します。
GPIO19をHigh出力にするとリレーがONになり、基板上LED2が赤色に点灯します。GPIO19をLow出力にするとリレーがOFFになり、基板上LED2が消灯します。
高速でON/OFFスイッチングする用途は想定しておりません。
仕様にある通り、最大電圧30V以下の電源で使用し、電流は最大8A、連続5A以下、周囲温度60°C以下で運用して下さい。鉛バッテリーのような保護機能のない電源に接続する場合は、ヒューズを挿入して保護するようにして下さい。
スイッチを押すとリレーがON/OFFするサンプルコードを用意しました。こちらをダウンロード、解凍後、rpzco2_relay.pyのファイル内の説明に沿って実行して下さい。
外付温湿度/気圧センサー
外付センサーはCO2センサーとあわせて「cgsensor」ツールにより一括制御が可能です。以下の記事で解説しています。
応用例
CO2濃度に応じてLEDの色を変化させ、リレーで外部機器をON/OFFする
Raspberry PiとRPZ-CO2-Sensorを使ってCO2(二酸化炭素)濃度を測定し、LEDの色を変化させる応用例です。LEDを見ることで、換気の必要性がひと目でわかります。濃度が一定以上になったらリレーで換気ファンなどの外部機器をONすることも可能です。
注意事項
SCD41 CO2センサーは取り扱いを誤ると精度が低下する恐れがあります。以下の内容に従って下さい。また、メーカーの取り扱い説明書、デザインインガイドもご参照下さい。
- センサーが揮発性化学物質や溶剤、有機化合物などに触れないようにして下さい。
- センサーにスプレーを掛けないで下さい。
- センサー表面の白いフィルターに触らないで下さい。
- センサー本体に強い力を加えないで下さい。
- ケースで運用する場合は、通気孔を設けて外部と空気が行き来できるようにすることを推奨します。
- センサーに直射日光が当たらないようにすることを推奨します。
開発依頼
本製品への機能追加などのカスタマイズや、本製品を使ったシステムの開発依頼、その他ハードウェア、ソフトウェアの開発については、有償にて承っております。ハードウェア、ソフトウェア受託開発をご参照下さい。
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