Arduino IDEのインストールと設定 (Windows, Mac, Linux対応)

Arduino IDEは世界的にも有名なマイコンボード用開発環境の一つで、初心者やプログラミング学習、小規模システム開発に適しています。本記事では、Arduino IDEやマイコンボードとは何か?といった点から、実際にインストールして使う手順を分かりやすく解説しました。Windows, Mac, Linuxなど、複数のOSでの手順も載せております。

更新日 : 2022年11月22日

Arduino IDEとは何か?

Arduino IDEとはArduinoなどのマイコンボード用のプログラムを開発するためのPC(パソコン)用のソフト(アプリ)のことです。

まずマイコンボードについて説明しておきましょう。マイコンボードとはその名の通り、マイコン(マイクロコントローラー)を搭載した基板やデバイスのことです。マイコンにユーザーが作成したプログラムを書き込むことで、様々な動作をさせることができます。例えば、ディスプレイに文字を表示させたり、温度を測定したり、インターネットと通信したり、といった具合です。(もちろん必要なディスプレイやセンサーなどが接続されている必要はありますが・・) つまり、「こんな機能をもつデバイスを作れないかな?」というユーザーの希望を実現できるのがマイコンボードなのです。

マイコンボードの1つ「Arduino UNO」

ではマイコン用のプログラムはどのようにして作ればよいのでしょうか?プログラムの作成はPCで行い、以下のような手順になります。

  1. プログラミング言語を使ってプログラムを記述する
  2. プログラムをマイコンが理解できる形式に変換する(コンパイル)
  3. プログラムをマイコンに書き込む

これらのステップを行ってくれるソフトは「開発環境」などと呼ばれています。マイコンボードや開発環境は様々なものがあります。また、対応関係もあり、ある開発環境が対応しているマイコンボードというものが決まっています。この中でArduinoマイコンボード用の公式の開発環境がArduino IDEなのです。

なぜArduino IDEなのか?

実際の所、どの開発環境にもメリット、デメリットはあるのですが、Arduino IDE(とその対応マイコンボード)は初心者やプログラミング学習、小規模なプログラム開発には良い選択肢です。その理由を説明します。

シンプルな構成

こちらはArduino IDEでLEDを点滅させる簡単なプログラム(Arduinoではスケッチと呼びます)を開いた画面です。

まず画面構成が必須の機能のみに絞り込んでいて、非常にシンプルです。初心者にとって、開発環境のセットアップのハードルは意外と高いものです。説明通りに作業してみたものの、エラーがでてコンパイルに失敗したり、マイコンボードの書き込みがうまく行かずにつまづいてしまう、というケースはよくあります。Arduino IDEであればインストール後、最低限の設定だけで動作させることができます。使用ボードにもよりますが、接続もUSBでつなぐだけです。

また、先程の画面のプログラムコードはわずか10行です。LEDを点滅させるだけならそんなものじゃないか?と思うかもしれませんが、開発環境によってはマイコンを動作させる「下準備」のコードやファイルを用意しないといけない場合もあるのです。Arduino IDEだとこういった準備は自動で行ってくれるため、コードもシンプルになり、このサンプルはファイルも1つだけです。

情報が豊富

Arduino UNOをはじめとするArduinoシリーズは世界的に最も有名なマイコンボードの1つです。そのため、なにか問題が起きても、大抵の場合原因や解決策を見つけることができます。また、世界中の開発者がArduino IDEで動作するプログラムを「ライブラリ」として公開しています。例えば温度センサーを使いたい場合、対応したライブラリがあれば自分で細かいプログラムを書かずとも動作させることができます。もちろん、学習のために自分でプログラムを書くという選択肢もあります。

Arduinoシリーズ以外のマイコンボードにも対応

Arduino IDEには「ボードマネージャ」という機能があり、公式にサポートしているマイコンボード以外にも対応ボードを拡張できます。Arduino IDEが普及しているため、多くのマイコンボードが対応しています。例えばWiFi内蔵マイコンのESP-WROOM-32もその一つです。互換性が高くなるような仕組みになっているので、こういった異なるマイコンボードにおいても既存のコードやライブラリの大半がそのまま動作します。

当Indoor Corgiの以下の製品もArduino IDEで開発することができます。

Arduino IDEで開発できる「ESP-IR+TPH Monitor」

Arduino IDEのバージョンについて

2022年時点で、Arduino IDE最新バージョン2.0がリリースされております。しかし、自動でインストールされるライブラリと衝突するため、以前のArduino IDEバージョン1.8で動作していたスケッチ(当サイトで配布しているサンプルを含む)が動かない場合があります。

そこで、当面Arduino IDE 1.8を推奨とさせていただきます。当サイトの解説もArduino IDE 1.xに焦点をあてております。




ダウンロード

少し前置きが長くなってしまいましたが、まずはArduino公式サイトのソフトウェアページからダウンロードしましょう。ページ中ほど「Legacy IDE (1.8.X)」から、自分のOSにあったものを選択します。なお、ここではx86 PCを想定していますが、Raspberry PiなどARM CPUのLinuxの場合はARM版を選択して下さい。

確認画面が出たら「JUST DOWNLOAD」をクリックしてダウンロードします。なお、寄付してもいいという方は「CONTRIBUTE & DOWNLOAD」でも構いません。

これ以降、OSごとの解説がございますが、動作確認した環境は以下の通りです。

  • Windows : Windows10
  • Mac : Mac OS 10.13
  • Linux : Linux Mint 19.3 (Ubuntu 18.04ベース)

インストール (Windows app版)

ブラウザ上でMicrosoft Storeのページが表示されるので、「入手」をクリックします。その後、Mircrosoft Storeアプリが起動するので、再度「入手」をクリックして進むとダウンロード&インストールされ、スタートメニューに追加されます。

インストール (Windows ZIP版)

ダウンロードしたarduino-xxx-windows.zipファイルを右クリックして「すべて展開」をクリックして解凍します。その後、できたフォルダ内の「arduino.exe」をダブルクリックしてそのまま起動します。ファイアウォールの警告が出た場合は適宜許可してください。

インストール (Mac)

ダウンロードしたarduino-xxx-macosx.zipファイルをダブルクリックして解凍します。Safariでダウンロードした場合は自動で解凍されます。その後、Arduino.appファイルをアプリケーションフォルダにコピーすれば完了です。




インストール (Linux)

ダウンロードしたarduino-xxx-linux64.tar.xzを以下のコマンドで解凍します。xxxの部分は実際のファイル名に置き換えてください。なおファイラーが対応していれば右クリックから解凍しても構いません。

tar Jxfv arduino-xxx-linux64.tar.xz

次にインストールスクリプトを実行します。インストールと言ってもファイルはLinuxのシステムディレクトリにコピーされるわけではなく、メニューやデスクトップにリンクを作成するだけです。そのため、事前に解凍したarduino-xxxディレクトリをダウンロード以外のユーザーディレクトリなどに移動しておくと良いでしょう。移動後にディレクトリ内でターミナルを開いて以下を実行します。

./install.sh

うまくいくと、メニューとデスクトップにリンクが作成されます。

Linux Mintの例

うまくいかない場合は、手動でarduinoファイルへのリンクを作成するか、arduino-xxxディレクトリでターミナルを開いて直接”./arduino”を実行して起動することも可能です。

設定の変更

インストールできたら、プログラムのコード編集画面で行番号を表示するように設定を変更しましょう。本サイトでは行番号で解説している箇所があるので、わかったほうが便利です。

Arduino IDEを起動して、「ファイル -> 環境設定」(Macの場合は「Arduino -> Preferences」)から設定画面を開いて下さい。その後、「行番号を表示する」をチェックしてOKを押します。

まとめ

以上でArduino IDEのインストールと設定は完了です。

この後、初期状態で対応していないマイコンボードの場合、ボードマネージャからマイコンボード用のコアライブラリをインストールする必要があります。マイコンボードによって方法が異なるので、各製品の手順を参照して下さい。Indoor Corgi製品の手順は以下で解説しています。

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