LIRCでRaspberry Piの赤外線制御 (家電、エアコン、照明、テレビなどを制御するホームIoT)

概要

 LIRCを使って赤外線の送受信を行うRPiTPH Monitor及びRPZ-IR-Sensor用の応用例です。 GPIOを直接制御することでも赤外線送受信は可能ですが、 他のタスクが入るとタイミングがずれてうまくいかないケースがあります。LIRCを使うことで安定した通信が可能になります。 CPUリソースが限られているRaspberry Pi ZeroではLIRCを使うことを推奨しております。

本ページは2019年6月にリリースされたRaspbian Buster用の設定方法です。 それ以前のバージョンであるStretch、Jessieをお使いの場合は設定方法が異なりますので、 Stretch設定方法Jessie設定方法をご覧ください。(ただしRaspberry Pi 4ではBuster以降のバージョンが必須となります)

設定方法はKernelとLIRCバージョンによって異なることがあります。 本ページの方法で動作確認済みのOSとLIRCバージョンの一覧は以下の通りです。インストール後 、ソフトウェアアップデートせずにLIRCをインストールして確認しています。

OSKernelバージョンLIRCバージョン動作確認
Raspbian Buster 2019-09-264.190.10.1確認済(パルス数255制限)
Raspbian Buster 2020-02-144.190.10.1確認済(パルス数255制限)
Raspberry Pi OS Buster 2020-05-284.19.1180.10.1確認済

Kernelバージョンはapt-get upgradeで更新されることがあります。更新したくない場合は raspberrypi-bootloaderおよびraspberrypi-kernelパッケージのバージョンを固定することをおすすめします。

パルス数の制限について

2020年2月リリース以前のBusterでは赤外線送信のパルス数が最大255までとなっていましたが、5月リリースのBuster (Kernelバージョン 4.19.118)でこの制限がなくなりました。なお、このリリースからRaspbianはRaspberry Pi OSという名称に変更になりました。

Kernelバージョンは以下のコマンドで確認できます。

uname -a

2020年2月以前のバージョンをお使いの場合は、2020年5月版のOSの再インストールを推奨しております。(アップデートしただけだと正常に動かないケースを確認したため)

Stretch、Jessieではこのパルス数の制限はありません。

ビルド環境の構築

Busterにおいて赤外線受信機能を使用する場合、lircをビルドする必要があります。aptを使ってlircのインストールは行わないで下さい。以下のコマンドを順に実行して、ビルドに必要なパッケージをインストールします。

sudo su -c "grep '^deb ' /etc/apt/sources.list | sed 's/^deb/deb-src/g' > /etc/apt/sources.list.d/deb-src.list"

sudo apt update

sudo apt install devscripts dh-exec doxygen expect libasound2-dev libftdi1-dev libsystemd-dev libudev-dev libusb-1.0-0-dev libusb-dev man2html-base portaudio19-dev socat xsltproc python3-yaml dh-python libx11-dev python3-dev python3-setuptools

LIRCのビルド

以下のコマンドを順に実行して、buildディレクトリを作成し、その中でビルドを行います。途中でgpio-irにパッチを当てる作業を行っています。最後のapt installでエラーとなる場合がありますが、そのままLIRCの設定に進んで下さい。

mkdir build
cd build
apt source lirc

wget https://raw.githubusercontent.com/neuralassembly/raspi/master/lirc-gpio-ir-0.10.patch

patch -p0 -i lirc-gpio-ir-0.10.patch
cd lirc-0.10.1
debuild -uc -us -b
cd ..

sudo apt install ./liblirc0_0.10.1-5.2_armhf.deb ./liblircclient0_0.10.1-5.2_armhf.deb ./lirc_0.10.1-5.2_armhf.deb

LIRCの設定

/boot/config.txtをスーパーユーザーで開き、ピン番号に関する設定を以下のように編集してください。

# Uncomment this to enable infrared communication.
dtoverlay=gpio-ir,gpio_pin=4
dtoverlay=gpio-ir-tx,gpio_pin=13

次に以下のコマンドを順に実行して設定ファイルを生成します。

sudo cp /etc/lirc/lirc_options.conf.dist /etc/lirc/lirc_options.conf
sudo cp /etc/lirc/lircd.conf.dist /etc/lirc/lircd.conf

LIRCのビルドの最後のapt installコマンドでエラーが出ていた場合はbuildディレクトリで再度実行します。

sudo apt install ./liblirc0_0.10.1-5.2_armhf.deb ./liblircclient0_0.10.1-5.2_armhf.deb ./lirc_0.10.1-5.2_armhf.deb

全ての設定終了後、Raspberry Piを再起動します。

赤外線受信

/etc/lirc/lirc_options.confをスーパーユーザーで開き、一部設定を以下のように編集してください。

driver = default
device = /dev/lirc1

設定が終了したら以下を実行してlircdを一度終了してください。

sudo service lircd stop

以下のコマンドを実行した後、基板の赤外線受信ユニットに向けて、お使いのリモコンから赤外線を送信してください。 送信が終わったらCtrl+Cで取り込みを終了します。

mode2 -d /dev/lirc1 > rec.txt

受信に成功すると、赤外線情報がrec.txtに記録されます。

pulse 3506
space 1700
pulse 466
space 401
pulse 467
space 1269
...

赤外線送信

先ほど記録したデータを赤外線送信データとして登録します。 /etc/lirc/lircd.conf.dディレクトリに好きな名前でconfファイルを作成します。(今回はaircond.confとします) さらに、confファイルを以下のように編集してください。nameの行は好きな名前を付けられます。 今回はエアコンのオフボタンの例としてname aircond, name offとしました。 begin raw_codesのname offに続く行は赤外線データを示しています。 rec.txtに記録されたデータのうち、pulse/spaceに続く数値をスペースで区切って入力していきます。 1行のデータが非常に多い場合エラーとなる事があります。適宜改行を入れてください。最後のtimeout行の数値はいれる必要はありません。

begin remote
 name aircond
 flags RAW_CODES
 eps 30
 aeps 100
 gap 200000
 toggle_bit_mask 0x0

 begin raw_codes
 name off
 3506 1700 466 401 467 1269 ...
 end raw_codes
end remote

/etc/lirc/lirc_options.confをスーパーユーザーで開き、一部設定を以下のように編集してください。

driver = default
device = /dev/lirc0

送信準備として以下を実行します。

sudo service lircd stop
sudo service lircd start

登録した赤外線データを送信するには以下のコマンドを実行します。正常に送信されればお使いの機器が反応します。また、赤外線送信中を示す赤色LEDが一瞬点灯します。aircond、offの部分は自分で付けた名前に置き換えてください。

irsend SEND_ONCE aircond off

関連記事

RPZ-IR-Sensor (Raspberry Pi用 温度/湿度/気圧/明るさ/赤外線 ホームIoT拡張ボード)

動作を自由にプログラミング可能な、Raspberry Pi/Zero(ラズパイ)用ホームIoT拡張ボードです。BME280温湿度気圧センサーとTSL2572明るさセンサー、赤外線送受信機能を搭載。IoT赤外線リモコンとして、温度が上がったらエアコンをオンにする、暗くなったら照明を点灯する、スマホ経由でテレビの操作をする、気温の記録、といった使い方が可能です。

RPi TPH Monitor Rev2 (Raspberry Pi用 温度/湿度/気圧/赤外線 ホームIoT拡張ボード)

動作を自由にプログラミング可能な、Raspberry Pi(ラズパイ)用ホームIoT拡張ボードです。BME280温湿度気圧センサーと赤外線送受信機能を搭載。IoT赤外線リモコンとして、温度が上がったらエアコンをオンにする、スマホ経由でテレビの操作をする、気温の記録、といった使い方が可能です。ディスプレイやLEDに情報表示も可能です。