RPZ-CO2-Sensor (Raspberry Pi用 二酸化炭素センサー/リレー 拡張基板)

Raspberry Pi(ラズパイ)用CO2センサーとリレー拡張基板です。CO2濃度を測定することで換気の目安としたり、オフィス環境の改善やスマート農業のCO2モニタリングに利用できます。CO2濃度が一定以上になった際、リレーで換気ファンなどの外部機器をON/OFFできます。7色表示可能なRGB LEDを搭載し、CO2濃度に合わせて色を変えることも可能です。

2024/2/19: Raspberry Pi 5に対応しました

CO2測定の重要性

近年、CO2(二酸化炭素)測定の重要性が高まっています。例えば以下のような例が挙げられます。

感染症対策、換気の「見える化」

感染症対策のために密の回避、および換気が重要です。

CO2は人間の呼吸で濃度が上昇するため、人が多く密閉性の高い場所でCO2濃度が上昇します。そこで、CO2濃度を測定することで換気の目安にすることができます(見える化)

厚生労働省の資料によると、CO2濃度が1000ppmを超えていないことを確認することが有効とされています。

集中力、生産性向上

CO2濃度が高くなると、脳のパフォーマンスに悪影響があることが分かっています。特にオフィスなどの労働環境や、学校では換気を十分に行い、CO2濃度が上がりすぎないようにすることが重要です。

国が決めた基準もあり、以下のように定められています。

CO2濃度上昇によるパフォーマンス低下を防ぐためには、CO2センサーを使用し、濃度が一定以下となるように換気を行うことが有効と言えます。

参考文献

スマート農業

CO2は植物の光合成の原料となるため、CO2濃度が植物の生育に影響を与えることが知られています。そのため、燃料を燃焼させたCO2をハウス内に送ることで濃度を上昇させ、収量や品質を高める二酸化炭素施用が行われています。

CO2濃度が上がると成長量が増加し、外気よりも濃度が下がると成長量減少するという報告もあります。

また、光や水の量とのバランスや、CO2濃度を一定以上に上げても効果が薄いといった結果も見られ、センサーによる適切なモニタリングが重要と言えます。

参考文献

これらの具体例から、なぜCO2測定の重要性が高まっているか分かっていただけたのではないでしょうか?

RPZ-CO2-Sensorで汎用性の高いシングルボードコンピューター「Raspberry Pi」にCO2測定機能を追加できます。既存のソフトウェアやネットワーク機能と組み合わせることで、例えば以下のような様々なシステムを作ることが可能になります。

  • CO2濃度に合わせてLEDの色を変化させ、オフィス環境を可視化
  • CO2濃度が一定を超えたらファンをONするシステム
  • IoT CO2濃度モニタリング
  • ビニールハウス内のCO2濃度モニタリング&コントロール (RPZ-IR-Sensorと組み合わせると、温湿度と光量も測定できます)

製品の特徴

機能概要図
高性能CO2センサー SCD41搭載

現在、正確なCO2の測定に使用されているセンサーは、NDIR(非分散赤外線)方式が主流です。一方、SENSIRION社のCO2センサーSCD41は、次世代のPAS(光音響)方式を採用したことで、高い精度を保ったま1/5以下の小型化に成功しています。

そのため、CO2センサーに加えてリレー、LED、スイッチをRaspberry Pi Zeroサイズの基板に搭載することが可能になりました。

PAS(光音響)方式 SCD41NDIR(非分散赤外線)方式MOx(金属酸化物)方式
精度高い
40ppm + 5%
高い
30-50ppm + 3-5%程度
低い (*1)
大きさ小さい
102mm2
大きい
500-1500mm2程度
CO2センサーの種類 (NDIR方式は市場の一般的なセンサーを調査したもの)

(*1) 安価なMOx方式は有機化合物ガス全般(TVOC)を検出します。CO2のみを検出するものではありません。TVOCの温室効果のCO2相当量(eCO2)をCO2濃度と誤解している例もありますので、ご注意下さい。

消費電力を抑える動作モード

CO2センサーは以下の3つの測定モードがあり、状況に合わせて選択することで、消費電力を抑えることができます。

  • 5秒おきの最短の連続測定モード
  • 30秒おきの省電力な連続測定モード
  • ユーザーが指示したときだけ測定を行うシングルショットモード

モバイルバッテリーでRaspberry Piの間欠動作を可能にする「RPZ-PowerMGR」拡張基板と組み合わせて、電源の取れない環境で長時間の測定を行うことも可能です。

MOSFETリレー搭載

外部機器をON/OFFできるスイッチとしてリレーを搭載しています。CO2濃度に応じて換気ファンなどをONするような使い方を想定していますが、プログラムにより自由に制御可能です。CO2濃度に応じてRGB LEDの色を変化させ、リレーで外部機器をON/OFFする応用例を公開しています。

機械的な接点のないMOSFETリレーを採用したため、ON/OFF切り替えが速く、摩耗もありません。リレーはDC 30Vまでとなります。AC 100Vには利用できません。

RGB LED、スイッチ

7色表示可能なRGB LEDと2個の汎用スイッチを搭載しました。 プログラムなどから自由にON/OFFできます。センサーと組み合わせて、CO2濃度に応じてLEDの色を変えてインジケーターとして利用したり、スイッチが押されたら特定の処理をすることができます。

CO2濃度に応じてRGB LEDの色を変化させ、リレーで外部機器をON/OFFする応用例を公開しています。

CO2濃度に応じてRGB LEDの色を変化させた例
コントロールソフトウェア付属

独自開発した、CO2センサーを制御できるコマンドラインツールとPythonパッケージ「cgsensor」を公開しています。Raspberry Pi OSに簡単にインストール可能です。

コマンドラインツールを利用すれば、1行もコードを書かなくても測定や記録ができます。ハードウェアを取り付け後、すぐに測定を開始できます。手動キャリブレーション(校正)や工場出荷時リセット、コンフィグ情報の変更など、センサーの各種機能を網羅しています。

また、Pythonパッケージを利用することで、ご自身のプログラムから簡単にセンサーを制御できます。開発期間の短縮に貢献します。

I2C端子に外付センサーを接続可能

4ピンのI2C端子に外付センサーセット(別売り)を接続することで、気温、湿度、気圧の測定が可能になります。外付センサーはCO2センサーとあわせて「cgsensor」ツールにより一括制御が可能です。

外付温湿度/気圧センサー(別売り)を接続した例

上記センサー以外でも、I2C接続のセンサーなどを接続して利用可能です。

Raspberry Pi Zero対応 & 拡張基板スタック

基板サイズは消費電力の低いRasbperry Pi Zeroに対応しています。

RPZ-CO2-Sensorの上に別の拡張基板をスタック(積み重ね)できます。付属アダプターを接続するだけなのではんだ付けは不要です。「RPZ-IR-Sensor」をスタックすれば、赤外線通信、気温、湿度、気圧、明るさセンサー機能を利用できます。

Raspberry Pi Zero WHに装着
別の拡張基板を3段目にスタック

仕様

項目仕様
対応ハードウェア40ピンコネクタを搭載したRaspberry Piシリーズ
動作確認を行っている製品:
– Raspberry Pi 5
– Raspberry Pi 4 Model B
– Raspberry Pi 3 Model B/B+
– Raspberry Pi Zero 2 W
– Raspberry Pi Zero W/WH
– Raspberry Pi Zero
対応OS2021年以降にリリースされたRaspberry Pi OS
(GPIO、I2C通信対応の他OSでも動作可能ですが、サポート対象外です)
CO2センサー 概要SENSIRION SCD41
I2Cアドレス0x62
CO2センサー 測定時間5秒 (1回の測定)
CO2センサー 測定範囲0 – 40000ppm
CO2センサー 精度+/- (40ppm + 測定値の5%)
(25°C、RH55%、1013hPa、400-5000ppmの範囲内)
CO2センサー キャリブレーション手動、自動キャリブレーション対応
リレー 概要MOSFETリレー
GPIO19
High出力時にON
リレー 許容電圧DC30V以下
リレー 許容電流最大8A
平均5A以下 (周囲温度60°C以下)
リレー コネクター直径1.5mm以下の端子、ケーブルに対応
コネクターの寸法図はこちら
RGB LEDRGBの組み合わせで7色表示可能
赤: GPIO18
緑: GPIO17
青: GPIO22
High出力時にON
スイッチSW1 (赤): GPIO5
SW2 (黒): GPIO6
ON時にLow入力

購入

1)RPZ-CO2-Sensor本体

RPZ-CO2-Sensor拡張基板本体と、Raspberry Pi接続用アダプターのセットになります。

まとまった数量をご希望の方は、見積もり依頼よりご連絡ください。

2)外付センサーセット

ケーブル経由で温湿度気圧センサーを追加する部品セットです。 Raspberry Piの発熱の影響を受けずに温度などを測定できます。 外付センサー、接続ケーブル、ピンヘッダのセットです。J3端子にケーブルを接続して使用します。RPZ-CO2-Sensor本体は付属しません。

セットアップ

Raspberry Piの初期設定

Raspberry Piを使うのが初めての方向けに、インストールと初期設定を解説しております。すでに完了している場合は次のステップへ進んでください。

RPZ-CO2-Sensor基板の取り付け

以下の写真のように、付属アダプターを、RPZ-CO2-Sensor基板に下から差し込みます。別の拡張基板をスタックしない場合、アダプターの先端4-5mmをカットすると端子がコネクター内部に収まります。

RPZ-CO2-Sensorにアダプターを取り付けた状態

付属アダプターを装着したRPZ-CO2-Sensorを、Raspberry Piの40ピンコネクターに取り付けます。

Raspberry Pi 4 ModelBに取り付けた例

Raspberry Pi Zeroに関してはアダプターを使わずに直接ピンヘッダーに取り付けて高さを低くすることができます。

対応穴径はRPZ-CO2-SensorがM3/M2.6、Raspberry Pi本体がM2.6、基板間の推奨スペーサーは長さ4mmとなります。

Raspberry Pi Zeroに直接取り付けた例
リレー端子

リレー端子(J2)は外部機器をON/OFFするスイッチとして利用できます。使用しない場合は何も接続しなくて構いません。

DC(直流)のみの対応で、AC(交流)には対応しておりません。端子には極性があるので、電圧の高い側をJ2端子プラス側、電圧の低い側をJ2端子マイナス側に接続し、固定ネジをマイナスドライバーで締めて固定します。

仕様にある通り、最大電圧30V以下の電源で使用し、電流は最大8A、連続5A以下、周囲温度60°C以下で運用して下さい。鉛バッテリーのような保護機能のない電源に接続する場合は、ヒューズを挿入して保護するようにして下さい。

リレー接続例

Raspberry Pi側とリレー側の回路は電気的に絶縁されています。また、スイッチON->OFF時の誘導性負荷による高電圧は、基板上のバリスタで保護する設計となっております。

外付温湿度/気圧センサー

4ピンのI2C端子(J3)に外付センサーセット(別売り)を接続することで、気温、湿度、気圧の測定が可能になります。ケーブルで接続するので、Raspberry Pi本体の発熱の影響を受けずに測定可能です。

以下の通り、同じ信号が対応するように接続して下さい。逆向きに接続すると部品を痛める恐れがあります。

基板J3端子外付センサー
3V3VIN
GNDGND
SCLSCL
SDASDA
信号の対応
RPZ-CO2-Sensor J3端子の信号表記
外付センサーの信号表記

ブロックダイアグラム

使い方

SCD41 CO2センサー

CO2センサーは「cgsensor」ツールで制御できます。以下の記事で解説しています。

RGB LED

LED1はRGB LEDとなっており、赤、緑、青に対応した3つのGPIOの出力がHighかLowかの組み合わせで最大7色の色に光らせることができます。以下の対応表を参考にして下さい。

GPIO18 (赤)GPIO17 (緑)GPIO22 (青)RGB LEDの色
LowLowLow消灯
HighLowLow
LowHighLow
LowLowHigh
HighHighLow
HighLowHigh
LowHighHigh水色
HighHighHigh
GPIOとRGB LEDの色の対応

スイッチを押すとLEDの色が変わるサンプルコードを用意しました。こちらをダウンロード、解凍後、rpzco2_ledsw.pyのファイル内の説明に沿って実行して下さい。

Pythonプログラミングが初めての方向けに解説記事を用意しております。

スイッチ

2つのスイッチはそれぞれGPIO5、6に対応しており、スイッチがON(押された状態)になるとLowが入力されます。

押してない間HighとなるようにRaspberry Pi側でプルアップしてご利用ください。デフォルトではRaspberry Pi起動時にプルアップになります。

GPIOスイッチ
GPIO5SW1(赤)
GPIO6SW2(黒)
GPIOとスイッチの対応

スイッチを押すとLEDの色が変わるサンプルコードを用意しました。こちらをダウンロード、解凍後、rpzco2_ledsw.pyのファイル内の説明に沿って実行して下さい。

Pythonプログラミングが初めての方向けに解説記事を用意しております。

リレー

MOSFETリレーは、Raspberry PiのGPIO19から制御できるスイッチとして動作します。

GPIO19をHigh出力にするとリレーがONになり、基板上LED2が赤色に点灯します。GPIO19をLow出力にするとリレーがOFFになり、基板上LED2が消灯します。

高速でON/OFFスイッチングする用途は想定しておりません。

仕様にある通り、最大電圧30V以下の電源で使用し、電流は最大8A、連続5A以下、周囲温度60°C以下で運用して下さい。鉛バッテリーのような保護機能のない電源に接続する場合は、ヒューズを挿入して保護するようにして下さい。

スイッチを押すとリレーがON/OFFするサンプルコードを用意しました。こちらをダウンロード、解凍後、rpzco2_relay.pyのファイル内の説明に沿って実行して下さい。

リレー制御のイメージ図
外付温湿度/気圧センサー

外付センサーはCO2センサーとあわせて「cgsensor」ツールにより一括制御が可能です。以下の記事で解説しています。

応用例

CO2濃度に応じてLEDの色を変化させ、リレーで外部機器をON/OFFする

Raspberry PiとRPZ-CO2-Sensorを使ってCO2(二酸化炭素)濃度を測定し、LEDの色を変化させる応用例です。LEDを見ることで、換気の必要性がひと目でわかります。濃度が一定以上になったらリレーで換気ファンなどの外部機器をONすることも可能です。

注意事項

利用規約・免責事項および保証をご確認の上、ご利用下さい。

SCD41 CO2センサーは取り扱いを誤ると精度が低下する恐れがあります。以下の内容に従って下さい。また、メーカーの取り扱い説明書デザインインガイドもご参照下さい。

  • センサーが揮発性化学物質や溶剤、有機化合物などに触れないようにして下さい。
  • センサーにスプレーを掛けないで下さい。
  • センサー表面の白いフィルターに触らないで下さい。
  • センサー本体に強い力を加えないで下さい。
  • ケースで運用する場合は、通気孔を設けて外部と空気が行き来できるようにすることを推奨します。
  • センサーに直射日光が当たらないようにすることを推奨します。

開発依頼

本製品への機能追加などのカスタマイズや、本製品を使ったシステムの開発依頼、その他ハードウェア、ソフトウェアの開発については、有償にて承っております。ハードウェア、ソフトウェア受託開発をご参照下さい。

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