ラズパイを外出先からリモート(遠隔)操作 – Raspberry Pi Connect使い方ガイド

Raspberry Pi ConnectはRaspberry Pi公式が提供しているサービスで、簡単な設定でインターネット経由で自宅のRaspberry Piをリモート操作することができます。本記事ではその使い方をわかりやすく解説しています。

更新日 : 2024年10月12日

Raspberry Pi Connectとは

ラズパイをリモート操作できる

Raspberry Pi ConnectはRaspberry Piが公式に提供しているサービスで、インターネットにつながっているRaspberry Piを遠隔地から操作することが可能になります。外出先からRaspberry Piを操作してソフトウェアを実行したり、設定を変えることができます。

通常インターネット経由でRaspberry Piへアクセスする場合、VPNやIPアドレス、ルーターなどの設定が必要でした。Raspberry Pi Connectを使えばそういった設定が不要になります。

デスクトップとコマンドラインをサポート

GUIが使えるリモートデスクトップ接続と、コマンドで操作するリモートシェル接続をサポートしています。

ブラウザー上からリモートデスクトップ接続した様子
ブラウザーから操作可能

操作する側(PCなど)ではブラウザーを使用するため、ソフトのインストールや設定作業が不要です。Raspberry Pi側の設定も非常に簡単ですぐに始められます。

暗号化通信

インターネット経由の通信となると、心配になるのはセキュリティです。Raspberry Pi Connectは暗号化通信に対応しています。

通常はRaspberry Pi(操作される側)とブラウザー(操作する側)がダイレクトに接続されますが、ネットワーク状況によってはサーバー経由での接続となるようです。

必要環境

必要環境は以下の通りです。

  • 最新Raspberry Pi OS (Bookworm)
  • Raspberry Pi 5 / 4 / 400 (リモートデスクトップを使う場合)
  • Picoを除くRaspberry Piシリーズ (コマンドラインのみ使う場合)
  • インターネット接続

リモートデスクトップはWaylandウィンドウマネージャーが必要な関係で、現状Raspberry Pi 5 / 4 / 400のみ利用可能です。コマンドライン(リモートシェル)のみであれば他のRaspberry Piでも利用できます。

注意点

2024年10月現在確認した注意点は以下の通りです。

  • スマホのブラウザーからも操作できますが、画面が小さいため現状操作しづらいです。
  • Raspberry Piはあらかじめ電源をONにしておく必要があります。
  • Raspberry Pi Connectはベータ版となっています。今後仕様の変更やバグの修正などが行われる可能性があります。

セットアップ手順

以下の手順で進めます。

  1. Raspberry Pi Connectサービスを利用するために、Raspberry Pi IDを作成します
  2. Raspberry Piへ必要なソフトのインストールと設定を行います
  3. ブラウザーからリモート操作

Raspberry Pi IDの作成

Raspberry Pi ConnectはRaspberry Piが提供しているサービスで、使用するにはRaspberry Pi IDを作成する必要があります。

ブラウザーでRaspberry Pi ID作成ページへアクセスします。

以下のフォームに、メールアドレス、パスワード、ニックネームを入力します。Terms and Conditionsに問題なければ左のチェックボックスをクリックします。私は人間ですの左にもチェックを入れ、簡単な質問に回答します。

最後にContinueボタンをクリックします。

登録したメールアドレスにメールが来るので、Verify emailのリンクをクリックして登録完了です。




Raspberry Piの設定

Raspberry Pi (操作される側)の設定をしていきます。

Connectソフトのインストール

Raspberry Piでターミナルを開いて、以下の$に続くコマンドを入力してEnterを押します。なお、2024年7月版のRaspberry Pi OSをインストールしている場合、Connect用のソフトはインストール済みになっていると思います。

$ sudo apt install rpi-connect

ターミナルの基本操作がわからない場合はこちらの記事を参照してください。

インストール後はRaspberry Piを再起動しておきます。

Raspberry Pi Connectの有効化

左上メニューから、「設定」→「Raspberry Piの設定」をクリックします。

ダイアログが開くので、上部タブの「インターフェイス」をクリックし、Raspberry Pi Connectの右にあるスライドボタンをクリックして有効にし、右下の「OK」をクリックします。

Raspberry Piをリンク

Raspberry Piを自分のRaspberry Pi IDにリンクします。Raspberry Pi Connectが起動していれば、画面右上に丸いアイコンが表示されているのでクリックし、メニューから「Sign in」をクリックします。ブラウザーが起動するまで待ちます。

Raspberry Pi3やZeroシリーズではアイコンが表示されないので、代わりににターミナルで以下のコマンドを実行してください。

$ rpi-connect signin

すると以下のようなメッセージが表示されます。ブラウザーで表示されているhttps://〜にアクセスします。ブラウザーは別のPCのものでも構いません。

Complete sign in by visiting https://connect.raspberrypi.com/verify/XXXX-XXXX

ブラウザーでサインイン画面が表示されたら、「Sigin in …」ボタンをクリックします。

Raspberry Pi IDのメールアドレスとパスワードを入力し、「Sign in」ボタンをクリックします。なお、既にサインイン済みの場合は本画面はスキップされます。

次にデバイスの名前を入力する画面が表示されます。複数のRaspberry Piを登録する場合など、デバイスを識別する名前を決めて入力し、「Create device and sign in」ボタンをクリックします。

ブラウザーからリモート操作

PCなどの操作する側のデバイスで、ブラウザーでRaspberry Pi Connectにアクセスします。必要に応じてサインインしてください。

登録済みのRaspberry Piの一覧が表示されます。デバイス名の下に「Screen sharing」と表示されているものはリモートデスクトップ接続が可能なデバイス、「Remote shell」と表示されているものはリモートシェル(コマンドライン)接続が可能なデバイスです。いずれも表示されていないデバイスはオフラインで現在接続できません。

リモートデスクトップで接続するには、右の「Connect via」ボタンをクリックし、「Screen sharing」をクリックします。

以下のようにブラウザー上にRaspberry Piデスクトップ画面が表示されれば成功です! マウスやキーボードでRaspberry Piを操作することができます。

リモートシェル(コマンドライン)で接続するには、接続画面で「Remote shell」をクリックします。リモートシェルのみ接続可能な場合は「Connect」ボタンのみ表示されているのでクリックします。

以下のようにブラウザー上にターミナル画面が表示されれば成功です! ターミナルと同様にコマンドを入力してRaspberry Piを操作することができます。インターネット回線が遅い場合などはデスクトップ操作がもたつくので、コマンドラインで操作しても良いと思います。

リモート操作しているとファイルを転送する機能が欲しくなるときがありますが、現状ファイルのやりとりをする機能はありません。Google DriveやDropboxなどのクラウド経由で送るか、シームレスにやり取りする場合はVPNやSCPなどが必要になります。

まとめ

Raspberry Pi Connectを使ってRaspberry Piをリモート操作する手順は以上です。

Raspberry Pi3やZeroなどRaspberry Pi Connectでデスクトップ接続できないモデルをリモート操作したい方や、スマホからリモート操作したい方は従来のVNCを使ったリモート接続手順も解説していますので、参考にして下さい。

また、Raspberry Piとのファイルのやり取りについてはSSH/SCPを使ったファイル転送手順を解説しています。

これらの方法はLAN内での接続を前提としているのでインターネット経由で接続する場合はVPNなどと組み合わせる必要があります。

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